二酸化炭素(温室効果ガス)とは 排出量や部門別の割合など

地球温暖化

二酸化炭素は炭素が酸化してできる物質で、化学式からCO2(シーオーツー)とも呼ばれます。

石炭や石油など、化石燃料を燃やすと大量に発生します。

このため、工業社会となっている現代では代表的な温室効果ガスであり、排出量を抑えることが求められています。

温室効果ガスとは

赤外線を含む太陽光が地上に注がれると、地表を温めてから、上空に向かって放射されます。

二酸化炭素はこの赤外線を吸収する性質を持っています。

そして吸収した赤外線を地表に送り返し、温度を保つ働きをしています。

これが温室効果と呼ばれ、その影響で地表では生物が生存できる環境になっています。

もしも温室効果がないと、地表は−20度になってしまうと言われています。

このような温室効果をもたらす気体が、温室効果ガスと呼ばれます。

二酸化炭素の他には、メタンや一酸化二窒素、フロン類などがあります。

人が産業活動などによって排出する温室効果ガスの割合では、二酸化炭素が76%と、大半を占めています。

各種産業によって排出される温室効果ガスの割合

温暖化の原因

二酸化炭素は産業革命以後、石炭や石油が大量に燃焼されるようになったことで、排出量が増大し、それが地球温暖化につながっていると指摘されています。

自然界では、生物が排出する二酸化炭素は、森林などが吸収して酸素に変換するため、均衡が保たれています。

しかし産業革命以後の工業の発展によって、排出量が多くなりすぎたことで、そのバランスが崩れてきているのです。

現在の大気中には二酸化炭素が0.038%含まれていますが、産業革命がはじまる前は0.028%であったとされており、およそ40%増えています。


【ハワイ島マウナロア火山で観測された二酸化炭素の大気中濃度 年を追うごとに増加している】
出典:wikipedia

このような、二酸化炭素量の急激な増大が温室効果を高め、地球全体の平均温度を上昇させていると考えられています。

このまま二酸化炭素が増え続けて気温が上昇すると、次のような問題が発生します。

・海面の上昇により陸地が水没する
今より4度上昇すると、ロンドンや上海、東京などの大都市も水没する
・水源が枯渇し、水不足に陥る地域が増え、10億人に影響が出る
・農作物の収穫量が減少し、飢餓にさらされる人が増える
・ハリケーンや干ばつなど、自然災害の被害が増大する

このように、人類の生存環境に大きな悪影響が出ると予測されています。

CO2換算済み排出量

温室効果ガスは、それぞれに温暖化に与える影響力が異なっています。

たとえばメタンが1トン排出されると、二酸化炭素を25トン排出したのと同じ影響があります。

この基準は地球温暖化係数と呼ばれています。

これは二酸化炭素を1として、他のガスの影響力を示すものです。

例えばメタンは25で、一酸化二窒素は298となっています。

ですので、ガスの排出量にこの係数をかけ、「二酸化炭素に換算すると、どのくらいの量を排出したことになるのか」を明らかにすることで、実際の影響力がわかるようになっています。

2017年度の、二酸化炭素量に換算済みの、各温室効果ガスの排出量は、次のようになります。

温室効果ガス CO2換算排出量(百万トン)
二酸化炭素 1191
メタン 30.5
一酸化二窒素 20.4
代替フロン等4ガス 51.8

二酸化炭素が11億9100万トンで、全体の92%を占めています。

このため、温暖化を抑制するには、二酸化炭素の削減が重要になります。

排出量が多い分野と対策

発電所などのエネルギー部門

火力発電では石炭や石油などの化石燃料を用いるため、二酸化炭素の排出量が多くなります。

これを削減するため、太陽光や風力などの、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの利用が推進されています。

発電が排出量に占める割合は、2016年度で42%となっています。

産業部門

それ以外では、製鉄やセメント産業が、二酸化炭素の排出量が多い業種となっています。

これはどちらの産業も、製造過程で大量の熱エネルギーを必要とし、燃料が用いられるからです。

このために製造工程の見直しが行われ、対策前と比べると、排出量の30%程度が削減されるか、される見通しになっています。

産業部門の排出量に占める割合は25%です。

発電と産業で合わせて67%ですので、この二つの分野での取り組みが特に重要となります。

部門別の二酸化炭素排出量の割合(2016年度)

日本全体の排出量

日本の二酸化炭素の排出量は、2017年度で11億9100万トンとなっています。

これは世界全体の排出量の3.5%を占めており、日本は世界で5番目に排出量が多い国です。

他には中国が28.4%、アメリカが15.4%で、この二国が飛び抜けて大きな割合を占めています。

日本では、東日本大震災後に火力発電所を使用することが増えたため、2013年には13億1600万トンにまで増大し、史上最高となりました。

その後はピークを越え、減少する傾向にあります。

日本の二酸化炭素排出量の推移(1990-2016年度)

出典:温室効果ガスインベントリオフィス