この記事では、日本の温室効果ガスの排出量に関するデータをまとめています。
まず、2017年度の各温室効果ガスの排出量は、以下になります。
2017年度の排出量
温室効果ガス | CO2換算排出量 ※ (百万トン) |
割合 |
二酸化炭素 | 1191 | 92% |
メタン | 30.5 | 2.4% |
一酸化二窒素 | 20.4 | 1.6% |
フロン類 | 51.8 | 4.0% |
※排出量は、地球温暖化係数を用いてCO2量に換算済みのものです。
このように二酸化炭素が92%で、ほとんどを占めています。
温暖化対策には、二酸化炭素排出量の削減が重要だということになります。
排出量シェア円グラフ
なお、このデータは速報値ですので、今度調整が入る可能性があります。
次に全体の10年間の推移を、グラフで見てみましょう。
2008-2017年までの推移
排出量が2009年には低下していますが、これはリーマンショックの影響で、電力需要が減少したためです。
そこから2013年まで増加していますが、これは不況から立ち直りかけた矢先の2011年に、東日本大震災が発生して原発が停止し、火力発電所の稼働率が上がったことが影響しています。
近年になると、再生可能エネルギーが普及してきたことから、排出量は低下傾向にあります。
2010年以降は13億トンを超えていましたが、2017年には12億9400万トンになっており、2009年以来、久々に割り込んでいます。
続いては、各温室効果ガスごとのデータを見ていきましょう。
二酸化炭素排出量の推移
二酸化炭素が割合のほとんどを占めているため、全体量の推移とほぼ同じになっています。
増減の理由については、上記と同じになります。
2017年には久々に12億トンを割り込んでおり、排出量が低下傾向にあります。
メタン排出量の推移
メタンはほぼ一貫して低下傾向にあります。
以前は廃棄物や、燃料からの漏出が多かったのですが、これらが抑制されたことにより、排出量が減少しています。
例えば燃料からの漏出は、1990年には497万トンだったのが、2017年には80万トンまで減少しています。
一酸化二窒素の排出量の推移
一酸化二窒素は、毎年少しずつ減少しています。
全体量にはさほど変動はないのですが、工業プロセスで使用された量は、1990年に991万トンだったのが、2017年には101万トンまで減少しており、この分野では大きく減少しています。
フロン類排出量の推移
フロン類は他のガスと異なり、増加し続けています。
2009年と比較すると、2017年は44%も増大しています。
温室効果ガスとしてのフロンガスには4つの種類があるのですが、その中でもハイドロフルオロカーボン類(HFCs)というフロンの使用量が急激に増えています。
これは冷蔵庫やエアコンなどの冷媒として使用されています。
オゾン層を破壊する力が強い、特定フロンに代わって用いられるようになりました。
このために「代替フロン」とも呼ばれています。
その後、温室効果ガスに指定されたことから、さらに別の冷媒を使用することが求められています。
しかしコスト面でHFCsに見合うガスが発見されていないため、なかなか使用の抑制には繋がっていません。
このため、フロン類が温室効果ガス全体に占める割合は、2008年の2.3%から、2017年の4%へと増してきています。
そして代替フロンも、旧来のフロンほどではないにせよ、オゾン層を破壊する性質を持っており、この観点からも使用は好ましいものではありません。
現状においては、二酸化炭素についで、強く排出の抑制が求められるガスだと言えます。