新電力事業者は2016年4月に、「電力小売り全面自由化」が実施されたことにともなって、新しく参入した事業者のことを言います。
それまでは東京電力や関西電力など、大手の電力会社が家庭や商店向けの電力販売を独占していましたが、この自由化によって、他の事業者も販売ができるようになりました。
英語では Power Producer and Supplier といい、頭文字を取って「PPS」と略されることもあります。
具体的には、50kW未満の電力需要が小さい相手(つまり一般家庭や商店)にも、自由に電力が販売できるようになったのです。
これ以前にも、工場やオフィスビルなど、需要の多い相手に対しては、電力の販売が自由化されていたのですが、2016年になって全面的に開放されたのでした。
「全面自由化」というのは、このためです。
事業者になるには登録が必要
自由化されたと言っても、電力の小売り事業を行うには、事業者登録をする必要があります。
担当する省庁は、経済産業省・資源エネルギー庁です。
小売電気事業の登録申請受付について
(資源エネルギー庁)
登録されている業者は、資源エネルギー庁のWEBサイトで公開されており、そちらで確認ができます。
登録小売電気事業者一覧
(資源エネルギー庁)
2018年12月21日の時点で、登録業者は550社となっています。(東京電力など既存10社を含む)
この他に、新電気事業者との契約の代行をする、新電力契約代理店も登場しています。
新規電気事業者に切り替えるメリットは?
大手の電力会社と競争するために、新規事業者は価格やサービス面などで、消費者に対して便宜を図っています。
電気の単価はさほど変わらない傾向にありますが、楽天でんきのように、申し込みや電力使用の際にポイントを付与して、関連するサービスで使えるようにしているケースがあります。
また、KDDIやソフトバンクなどの通信事業者は、電気と携帯電話の契約をセットにすると、割引を行うサービスを展開しています。
都市部においては、ガス会社が電気とセット販売し、数%の料金の割引をするケースが多く、切り替える消費者が増えています。
このように、自由化によって電力をよりお得に、低価格で利用できる傾向が発生しています。
自由化が始まってから2年の時点で、709万件が電力会社を切り替えており、その後も増加しています。
2018年の時点では、都市部ではガス会社への切り替えが多く、地方ではKDDIが最も多く切り替えの対象になっています。
それ以外にも、再生可能エネルギーの発電を重視することを特徴としている事業者もあります。
温暖化の抑制に貢献したいと考える場合には、そういった事業者を選択することもでき、まさに自由度が高まっています。