経済産業省は、電話勧誘による電気の契約切り替えについてのトラブルが急増していると、発表しました。
平成28年4月1日から、電力の小売りの自由化が始まり、小売り事業に参入した業者から電力の供給が行われるようになっています。
それにともない、電話での電気契約の切り替え勧誘がなされるようになりましたが、そこでトラブルが多発しており、消費生活センターなどに相談が寄せられています。
平成30年11月30日の時点で相談件数は6,836件となっており、増加傾向にあります。
相談例1
大手電力会社を名のる電話があり、契約番号などを伝えたところ、見知らぬ小売り電力業者に契約が切り替えられていた、という事例があります。
この人は電話の最後に「書類を送る」と言われたので不安になり、契約している電力会社に確認したところ、「契約番号を聞くような電話はしていない」と返答がありました。
しばらくすると、見知らぬ電力会社から手数料の請求書が届き、おかしいと気がつきます。
この業者は契約番号を聞いて、勝手に従来の電力会社との契約を解除し、自分の会社との契約を行ったようです。
相談例2
「電気料金が安くなる」と言われて資料を請求すると、いつの間にか契約が切り替わっており、解約料を請求された、という事例もあります。
この人には電力会社から「電気料金が安くなる」と電話がありましたが、契約をするつもりはなかったので、ひとまず資料を請求しました。
後日、書面が送られてきたものの、請求した資料だと思い、内容を確認せずにそのままにしていました。
その後、電気料金の明細が届くと、いつの間にか資料を送ってきた電力会社と契約したことになっていました。
電力会社に契約するとは言っていないことを伝え、「契約が成立していないはずだ」と伝えたところ、「書面にクーリングオフについて書いてあったのに、通知を出さなかったので解約できない。解約をしたいなら事務手数料を払え」と言われ、トラブルとなりました。
対応策
電力の小売り自由化によって、悪質な業者も参入するようになり、電話で意思表示をしていないのに、勝手に契約の切り替え手続きを行う事例が発生するようになっています。
電気の契約を切り替えるには、契約名義、住所、顧客番号、供給地点特定番号の、4つの情報が必要となります。
ですので、これらの情報を電話で聞かれた場合、契約を切り替える意思がない時には、答えないようにすることで、トラブルを防ぐことができます。
これらの情報は、検針票に記載されています。
また、「スマートメーターを設置すれば電気代が安くなる」と言って情報を聞き出そうとする業者もいますが、それだけで電気代が安くなることはありません。
業者にたずねられても、検針票の情報は明かさないようにしましょう。
もしも契約が意に反して切り替えられていても、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、クーリングオフによって契約を取り消すことができます。
トラブルが発生した場合には、経済産業省電力・ガス取引監視委員会や、消費生活センターが相談の窓口となります。
出典:経済産業省ウェブサイト