温室効果ガスとは 種類や排出量、削減への対策について

地球温暖化

温室効果ガスは赤外線を吸収し、放出する性質を持つ気体のことです。

具体的には二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類などがこれにあたります。

工業など、各種の産業によって排出される温室効果ガスの割合は、以下になります。

各種産業によって排出される温室効果ガスの割合

二酸化炭素が76%で、大半を占めています。

このため、温室効果を抑えるためには、二酸化炭素の排出量を抑制する必要があります。

温室効果のメカニズム

太陽からの光には赤外線がふくまれており、これが地球の表面にあたり、地上を温めます。

この熱はやがて、地球の外に向かって放射されますが、温室効果ガスはこれを吸収し、再び地表に送り返す性質を持っています。

このような作用を温室効果と呼びますが、このおかげで、地表の気温は生物が活動できる水準に保たれています。

もしも温室効果がなければ、地球の表面は−20度になってしまうと言われており、凍りついた惑星になってしまいます。

温室効果ガスと温暖化

このように、温室効果は人間の生存にとっても不可欠なものですが、工業化の進展によって二酸化炭素の排出量が増えたことで、効果が高くなりすぎ、地球の平均気温が上昇する、という影響が出ています。

特に石炭や石油などの化石燃料は、燃焼する際に大量に二酸化炭素を排出するため、温室効果ガスを増大させる原因となります。

産業革命以前と比べると、大気中の二酸化炭素量が40%増大し、地表の平均気温は0.8度上昇しています。

このまま温暖化が進むと、最悪の場合、今世紀末には平均気温が6.4度上昇するとも言われています。

温暖化によって発生する影響

温暖化が進行すると、様々な方面で悪影響が出ると予測されています。

食料

気温の上昇に伴って、途上国では食料の収穫が減り、飢餓の危機にさらされる人が増加します。

4度上昇すると、先進国地域でも収穫量が減少し、生命の維持に大きな問題が発生します。

世界的に小規模の氷河が失われ、地域によっては水不足に陥ります。

また、氷河が溶け出すことで海面が上昇し、水没する地域が発生します。

2度上昇すると10億人が水不足に陥り、4度の場合は海面の上昇に伴って、ロンドンや上海、東京といった大都市も水没することになります。

異常気象

嵐や森林火災、干ばつ、洪水などの災害が強さを増し、被害が大きくなります。

2度上昇するとハリケーンが強くなり、アメリカの被害額は2倍になると試算されています。

対策

このような問題が認識されたため、工業化が進んでいる先進各国では、温暖化対策が進められています。

具体的には、石油や石炭の使用量を減らし、再生可能エネルギーへの転換が行われています。

太陽光や風力、水力、バイオマスなど、二酸化炭素を増やさないエネルギー源の利用が、推進されています。

2016年のパリ協定では、世界の平均気温を、産業革命以前にくらべて2度以上、高くならないようにし、なるべく1.5度以下に抑える努力をする、という取り決めがなされました。

このため21世紀後半には、温室効果ガスの排出量と、森林などによる吸収量のバランスを取り、均衡を保って温暖化を進行させないようにすることが目標として掲げられています。

日本でも太陽光や風力の活用が進行していますが、このような国際的な流れの中で、行われている活動なのだと言えます。

世界各国の二酸化炭素の排出量

2015年のデータでは、二酸化炭素の排出量が最も多いのは中国で、世界全体の28.4%を占めています。

ついで多いのがアメリカで、15.4%です。

日本は3.5%で、世界で5番目となっています。

排出量は11億4700万トンです。

日本では東日本大震災の後に、火力発電所の稼働が増えたことで、二酸化炭素の排出量が増大しました。

その後は再生可能エネルギーが普及した影響で、低下していく傾向にあります。

10位までのデータ(2015年)

順位 国名 排出量
(百万トン)
割合(%)
1 中国 9,333 28.4%
2 アメリカ 5,071 15.4%
3 インド 2,107 6.4%
4 ロシア 1,578 4.8%
5 日本 1,147 3.5%
6 ドイツ 713 2.2%
7 韓国 582 1.8%
8 カナダ 504 1.5%
9 ブラジル 471 1.4%
10 メキシコ 468 1.4%

削減目標

国ごとに排出量が大きく異なっていますが、このため、それぞれに削減目標を設け、取り組むことになっています。

もっとも排出量が多い中国は、2005年を基準にして、2030年までに60-65%削減することを目標としています。

日本では2013年を基準にして、2030年までに26%削減することを目標にしています。

温室効果ガスの種類と特徴

温室効果ガス 地球温暖化
係数 ※1
性質 用途、排出源
二酸化炭素
(CO2)
1 代表的な温室効果ガス 化石燃料の燃焼など。
メタン
(CH4)
25 天然ガスの主成分で、常温で気体。
よく燃える。
稲作、家畜の腸内発酵、廃棄物の埋め立てなど。
一酸化二窒素
(N2O)
298 数ある窒素酸化物の中で最も安定した物質。
他の窒素酸化物(例えば二酸化窒素)など
のような害はない。
燃料の燃焼、工業プロセスなど。
HFCS
(ハイドロフルオロカーボン類)※2
1,430など 塩素がなく、オゾン層を破壊しないフロン。
強力な温室効果ガス。
スプレー、エアコンや冷蔵庫などの冷媒。
化学物質の製造プロセスなど。
PFCS
(パーフルオロカーボン類)
7,390など 炭素とフッ素だけからなるフロン。
強力な温室効果ガス。
半導体の製造プロセスなど。
SF6
(六フッ化硫黄)
22,800 硫黄の六フッ化物。
強力な温室効果ガス。
電気の絶縁体など。
NF3
(三フッ化窒素)
17,200 窒素とフッ素からなる無機化合物。
強力な温室効果ガス。
 半導体の製造プロセスなど。

※1 地球温暖化係数は、二酸化炭素を1として、その気体にどれほど温暖化する能力があるかを示した指標です。
※2 フロン類は種類が数多くあるので、一部だけを表記しています。

出典:JCCA