西日本新聞によりますと、廃棄処分される太陽光パネルを繊維にして、衣料品にリサイクルする取り組みが始まっています。
これは福岡市のパネル検査機器メーカー「システム・ジェイディー」と台湾のリサイクル企業「光宇材料」、および現地商社が共同して行う事業です。
ジェイディー社は太陽光パネルの点検作業で用いる、断線などの障害を見つける機器「ソコデス」を開発しています。
光宇材料がこれを使って台湾の顧客向けに不具合のあるパネルを発見し、リサイクルを行います。
光宇材料は太陽光パネルや半導体で使われているシリコンのごみを粉砕し、高純度のケイ素を回収し、繊維に再生する技術を開発しています。
これを使用して太陽光発電パネルから、ケイ素繊維を製造します。
新工場が1月から稼働しており、月間で1800トンの廃棄物を処理することができます。
光宇材料が開発しているケイ素繊維は保温性に優れているため、ダウンジャケットや布団の中綿、スポーツウェア、アウトドア用品などに使用されています。
これ以外にも、高い抗菌消臭力や、遠赤外線機能を備えています。
ここ数年で太陽光発電が急速に普及しましたが、その反面、将来的には世界中でパネルの廃棄物が増えていくことになります。
このため、パネルのリサイクル事業には将来性があると見込まれています。
日本では2012年に太陽光発電の固定価格買い取り制度が始まりましたが、この頃からパネルの設置量が急激に増えています。
そして太陽光パネルの寿命は25〜30年程度ですので、国内では2039年ごろが廃棄のピークになり、77万5千トンの廃棄パネルが出ると予測されています。
そして発電事業者の資金力が不足する場合には、パネルが大量に放置されたり、不法投棄されるリスクがあると考えられており、対策が検討されています。
太陽光パネルが衣料品に変わるというのも不思議な話ですが、シリコン=ケイ素ですので、こういった応用が効くようです。
今後、パネルの廃棄量が増えるのは確実ですので、有用なリサイクル方法が開発されることには、大きな意義があると思われます。