均等化発電原価とは、発電にかかるコストを明示するための指標です。
具体的には、発電所の建設に要する設備費・工事費・部材費などの初期コストと、運転や維持にかかるコスト、そして設備の廃棄にかかるコストまで、すべてを合計します。
そして全コストを、その発電システムが稼働し、数十年後に廃棄されるまでに発電する量(生涯発電量)で割ることで算出される数値が、均等化発電原価となります。
これによって、1kWhを発電するのに何円かかるのかが明瞭となり、いくらで電気を販売すれば収益が出るのかを計算することができます。
英語で言うと Levelized Cost of Electricity であり、頭文字を取ってLCOEと略されることがあります。
計算式
具体的な計算式は、以下のようになります
資本費 + 運転維持費 + 燃料費 + 社会的費用(環境対策費用 + 事故リスク対応費用 + 政策経費) ÷ 発電電力量(kWh)
詳細
資本費
減価償却費、固定資産税、水利使用量、設備の廃棄費用の合計
運転維持費
人件費、修繕費、業務分担金の合計
燃料費
単位数量あたりの燃料価格に必要燃料量を乗じた値
原子力の場合は核燃料サイクル費用として別途計算
環境対策費用
燃料の使用に伴い排出されるCO2対策に関する費用
事故リスク対応費用(原子力)
発生可能性のある事故に対応するための費用
政策経費
税金で賄われる政策経費のうち、発電に必要と考えられる社会的経費
OECDによる試算用のデータ
発電形式ごとのコスト計算については、OECDの専門機関が試算方法を公開しています。
たとえば稼働年数は、2010年の試算では、石炭火力が40年、天然ガス火力が30年、原子力が60年、水力が80年、風力と太陽光が25年となっています。
設備の利用率や、廃止にかかる費用などの計算法も設定されており、それを用いることで試算が可能となります。
OECDによる発電コスト試算
石炭 火力 |
天然ガス 火力 |
原子力 | 水力 | 風力 | 太陽光 | |
稼働年数 | 40年 | 30年 | 60年 | 80年 | 25年 | 25年 |
設備利用率 | 85% | 85% | 85% | (国ごとに設定) | ||
廃止措置費用 (建設費に対する比) |
5% | 5% | 15% | 5% | 5% | 5% |
その他
現在は技術の発達によって、太陽光や風力など、再生可能エネルギーの均等化発電原価が低下傾向にあり、普及の後押しをしています。