アメリカでは火力発電が高コストになり、太陽光や風力への移行が進み始める

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アメリカは先進諸国の中では、再生可能エネルギーの導入が進んでいませんでしたが、2018年を契機として、状況が変化しつつあります。

ミネソタ州で360万の顧客を抱えるエクセル・エナジー社は、2050年までに温室効果ガスの排出量を0にする計画を発表しました。

これはミネソタ州のあるアメリカ中西部では、安価に風力や太陽光発電が行える環境があることが影響しています。

また、ミシガン州で180万の顧客を持つコンシューマ・エナジー社は、今後20年間で太陽光の発電量を増やしていく計画を発表しています。

同社はこれまでに、電力のほとんどを石炭火力発電所に頼っていましたが、方針を転換することになりました。

他にも、インディアナ州の電力会社が、それまで発電量の65%を占めていた石炭火力発電所を、10年以内にすべて閉鎖する、と発表しています。

こうした流れが発生したのは、アメリカで急に環境意識が高まったから……というわけではなく、経済的な事情によるものです。

もはや石炭火力発電所を用いるよりも、新しく再生可能エネルギーを用いた発電所を建設する方が、低コストですむようになっているからです。

石炭など、化石燃料を使うプラントを建設するには多大な費用がかかりますが、電力需要が増加する傾向にあったことから、資金を回収できると判断されていました。

しかしここ数年、電力需要は横ばいで推移していることから、石炭にはもはや、経済的な競争力がなくなったとみなされているのです。

一方で、再生可能エネルギーによる発電コストは年々低下し、ドイツを初めとした先進諸国で、太陽光発電はグリッドパリティを達成しています。

※グリッドパリティとは、再生可能エネルギーによる発電が、火力など、従来の発電方式と同等か、それ以下のコストで発電できるようになることを言います。

このため、電力会社は新たに大規模な化石燃料発電所を建てることをためらうようになり、再生可能エネルギーに目を向け始めたのです。

このように、2018年を契機として、アメリカでも経済的な理由によって、化石燃料から、太陽光や風力への移行が進展する傾向をみせています。

これによって、自然と温室効果ガスの排出量が低下していくものと思われます。