福島第一原発の所在地である、福島県の大熊町で、植物を用いたバイオマス発電事業が行われることになりました。
バイオマス発電は、生物資源などの再生可能なエネルギーを用いる発電方式です。
化石資源とは違い、枯渇することのない資源を用いることで、恒久的なエネルギー源となることが期待されています。
大熊町では福島第一原発事故によって、帰還が困難になっている地域でイネ科の植物を育てて収穫し、それを発酵させます。
そして生じたメタンガスを用いてタービンを回し、発電するという計画です。
除染が行われた地域でイネ科の植物を育て、それを用いることになっています。
発電のためだけに植物を育てるのは、国内で初の試みとなります。
これによって被災地域を復興させ、農地を保全する効果が生み出されることが期待されています。
発電の際に発生する二酸化炭素を植物の栽培に用いたり、熱を温浴施設に活用することなどが検討されています。
事業規模などは未定となっており、採算を取れるかどうかが課題となります。
(2011年までの調査では、全国のバイオマス関連施設の7割が赤字になっています)
新しい試みとなりますが、災害地域の復興の一助となるかどうかが注目されます。
大熊町とは
大熊町は原発事故によって全町域に避難指示が出された地域で、多くの町民が現在も県内外で避難生活を送っています。
2018年10月1日の時点で、推計人口は0人となっています。
役場や駅がある町の中心部は、住民が立ち入れない「帰還困難区域」に指定されており、放射線量が低い地域を整備し、少しずつ生活の場を拡大しています。
この事業は、そのための取り組みの一環となっていくのでしょう。
大熊町の地図